翻訳コラム
2019.06.28
ビジネス文書の英語翻訳で知っておきたい書き方のコツと注意点
現在ではビジネス関係の文書というものがほぼすべてメールでやり取りされるようになりました。そのため、日本国内はもとより海外の支社や取引先、関係先との連絡も、堅苦しいフォーマットにこだわることなく手軽にメールによって行えるようになったのです。
しかし通信そのものの量が増え、ジャンクメールなども頻繁に送られてくるため、ともすればチェックされないまま流されてしまうこともよくあります。それが大事な用件や緊急な対応を求めるものであれば、困ったことになります。
とりわけ英文メールに関して、適切に対応してもらうためには、英語の文章スキルだけでは足りず、先方への配慮や読みやすさなどの工夫も必要です。
この記事では、メールを介したコミュニケーションを良好にするための、英語でのビジネス文書を作成するときのコツや注意点を色々と紹介していきます。
Index
件名は一目でわかりやすく!テンプレート例
件名が一目で要点を飲み込めるようなものになっていたら、読み手の方もその言わんとするところを察して、優先的に読んでもらえる確率がアップします。
また後々受信ボックスから探すときも、件名が明確な言葉を含んでいれば、労せずに見つけてもらえます。ここでは状況別での件名の書き方テンプレート例を紹介します。
先方の都合を伺う場合
例えば先方の施設などを見学させてもらう日程を相談するような場合、単に「〇〇見学の件」のような書き方よりも、一歩踏み込んで下記のようにわかりやすく相手の都合を伺う件名が望ましいでしょう。
〇〇 tour: How about August 3rd?
(〇〇見学:8月3日はいかがですか?)
〇〇 tour: Are you available on August 3rd?
(〇〇見学:8月3日なら大丈夫でしょうか?)
回答を望む場合:2パターン
宿泊先の手配や航空チケットを調達するために、タイムリミットまでに返信が欲しい場合もあるでしょう。そういうときはハッキリと回答の期日を件名に入れ込みましょう。
My visit to your office (need your response by March 1st)
御社オフィス訪問(3月1日までにお返事ください)
指定しておいた回答の期日を過ぎても何も返事がない場合、同じメールの件名の前にreminderを付け加えて再送すると効果的です。
「思い出させるもの」という意味合いを持つ reminder を付け加えることで、嫌味なく催促ができます。
「以前にお送りしたこのメールですが、お返事がないので念のため再送させていただきます」という注意を喚起する役目を果たしてくれます。
Reminder:Shipping schedule of 〇〇
(再送:〇〇の出荷日程の件)
緊急度別お知らせ:3パターン
緊急度の違いによるお知らせのパターンを3種類紹介しておきます。
まず、大至急に対応して欲しいもっとも緊急度が高い要件の場合には、Urgent! を頭につけましょう。それを読めば放置される可能性は下がります。
Urgent!:Next video meeting
(至急!:次回オンラインミーティングの件)
さほど緊急というほどではないけれど、知らせておきたい重要事の連絡には、Important と頭につけましょう。
Important: Possible delay in shipment due to 〇〇
(重要:〇〇による出荷遅延の可能性)
至急でもなければ重要でもないけれど、とりあえず知らせておきたい情報には、FYI (for your information)を頭につけましょう。
FYI: Our year-end and New Year holidays
(お知らせ:弊社年末年始休暇)
余談ですが、内容と関係のないあいまいな件名はジャンクメールと認識されたり、チェックを後回しにされたりするので避けましょう。
例えば、以下のような件名です。
- Question
- How are you?
- Hello
- Present for you
- Thank you
宛名の基本的な書き方
英語のビジネス文書での宛名の書き方として、一般的なものは以下のものです。
- Dear Mr.Koyama,
- Dear Ms.Taninaka,
日本語のやり取りでいえば「〜様」のようなものです。しかし昨今では、宛名の書き方に新しいトレンドが見られます。
親密度をアップするちょっとした工夫
最近の傾向として、担当者レベルでのやり取りにおいては、Mr. や Ms. より少し柔らかく「さん」付け、つまり -san で呼びかけることが浸透してきています。
- Dear Koyama-san,
- Dear Taninaka-san,
「さん」は今や世界中で認知されていて、会話とメールのどちらでも汎用性が高く、実際に頻繁に使われます。
また、親しい関係であれば Dear を Hello に置き換えてもかまいません。
- Hello Kawaguchi-san,
- Hello Morita-san
書き出しの上手なフォーマット
日本語でのビジネス文書を書く場合は、書き出しとして「いつもお世話になっております」などから始まります。一般的であり形式的で、特に意味はなくてもこれがないと何か物足りなくなるものです。
では英語の場合はどうなのでしょうか?
儀礼より具体的な挨拶
英語のビジネス文書に慣れていない人は「いつもお世話になっております」を英語で表現しようとすることがあるようです。
強いて訳せば Thank you for your continuous support. などとなります。しかし残念ながら英語のビジネス文書では、この類いの社交儀辞令はほとんど意味をなしません。
むしろ冒頭には、心配りや具体的な感謝の思いを書く方がよいでしょう。
例えば久しぶりに連絡を取るような場合は、変わりなく元気にしているかを尋ねるような書き出しがよいでしょう。
I hope you all are doing very well.
(みなさま、おかわりないでしょうか)
他にも以下のような表現が可能です。
- I expect you are keeping well.
- I trust that you are keeping well.
頻繁にやり取りをしている相手には、前回の依頼への対応に関しての感謝の気持ちを示しましょう。あるいは迅速な返事へのお礼でもよいかもしれません。
Thank you for your sending us important documents so quickly as usual.
(いつもながら、重要書類を速やかに送っていただきありがとうございます)
Thank you for your quick response.
(早々の返信、ありがとうございます)
導入文で目的を示す
本文に入るまえに、導入部分で本件の主旨を要約して伝えましょう。
I am writing(emailing) to you regarding my visit to your 〇〇
(御社〇〇訪問に関して、連絡させていただきます)
We would like to hold a video conference with you next Monday.
(来週月曜日に御社とオンライン会議を行いたいと考えています)
そして、この後に続く本文で用件の詳細を書くのです。
本文のわかりやすい書き方
ここでは、英語のビジネス文書をわかりやすく書くコツをいくつか紹介します。
重要項目は整理して箇条書き
日本語の文書でも同じことが言えますが、英語のビジネス文書で重要な項目は、箇条書きを利用すると、先方にとっても大事なポイントにすぐアクセスできてわかりやすいメールになります。
以下の例は海外出張において、空港まで迎えにきてもらう現地の窓口となる人に、必要な情報を簡潔に伝える目的のビジネスメールの一部です。
①と②の内容は同じです。しかし①よりも②の方が、重要な情報が圧倒的にわかりやすくなっています。
① I’ll leave Narita International Airport with my subordinates on September 6th with the flight #FD120 and arrive at the JFK International Airport at 11:30 a.m., the same day. I booked rooms for three of us at the Marriot hotel.
② Our flight schedule, etc. are as follows:
- Flight#: NH120
- Arrival date: September 6, 2020
- Arrival time: 11:30 a.m.
- Airport: JFK International Airport
- Hotel: Marriot hotel
- Number of people: 3 people (me and my two subordinates)
返信を要するなら明確に依頼
日本語のビジネス文書では、本文中で依頼したことや返信の依頼も含めて、末尾に「よろしくお願いいたします」と書きます。
しかし英語のビジネス文書で返信を求めるときには、末尾のその旨を記した方がよいでしょう。代表的な表現は以下の通りです。
- We look forward to hearing from you soon.
- Your quick response will highly be appreciated.
先方の都合を気遣いながらの、速やかな返事をお願いする比較的謙虚な書き方は以下の通りです。
- Please reply at your earliest convenience.
結びの表現あれこれ
文末の結びの表現として代表的なものは以下の通りです。
- Thank you and best regards,
他にも下記のような表現が使えます。
- Thanks,
日頃の感謝を表したいときには、下記のような結びも使えます。
- Best regards,
- Kind regards,
- Warm regards,
- Regards,
- Thank you,
- Thank you as always,
内容とスペルの校閲を念入りに
海外とのやり取りが手軽になり、もし送ったメールに間違いが混じっていても、たしかに訂正は簡単にできます。しかし、ちょっとした間違いであってもそれが繰り返されると、信頼をなくすことにつながりかねません。
メールを送る前にはスペルチェックと内容の確認は欠かせません。きとんとかけたと思っていても、時間をおいてから確認するとスペル間違いなどのケアレスミスが見つかることもあります。
また、スペルに問題はなかったとしても、読み手の立場に立ってみて、わかりやすく読みやすい文書になっているかも念入りに確認しましょう。
ビジネス文書の英語翻訳は翻訳会社FUKUDAIに
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