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2024.09.06

ローカリゼーションを活かしたグローバル翻訳方法

ローカリゼーションを活かしたグローバル翻訳方法

グローバル市場での成功には、単なる翻訳以上にローカリゼーションが重要です。地域に合わせた適切な対応が、商品やサービスの現地化に不可欠であり、現地の文化や習慣を理解することが鍵となります。

Think globally, act locallyの考え方

環境課題を扱う中で「think globally, act locally」すなわち「地球規模で考え、地域で行動する」と言うフレーズを聞いたことがあるでしょうか。これは、パトリック・ゲデスというスコットランドの社会学者が1915年に構想したと言われ、当初は都市計画のコンセプトとして導入されました。時代を経て、このフレーズは1970年代に環境問題のスローガンとして普及しました。しかしこの考え方は環境だけでなく、人間のあらゆる行動に適用することができます。その一つは企業のグローバルマーケティング戦略です。

ローカルからグローバル、グローバルからローカルへ

企業が自分の国や地域から飛び出て他の場所に消費者を求めたり販路を広げたりすることがグローバルに展開することです。では日本企業が世界に進出することを考えます。まずは商品やサービスに関する資料をその地域の言語に翻訳することが必要です。これは現地の人に説明するために必須の作業ですが、そのまま日本語から現地語に訳したものを商品に貼り付けて使うわけには行きません。企業が外国に行って自分たちの商品やサービスを買ってもらうためにはその地域に合った対応、すなわちローカリゼーションをしなければなりません。

ローカリゼーションとは何か

グローバル市場に進出するために、単なる翻訳だけではなく多岐にわたる要素を考慮した総合的なアプローチが求められます。ここでは、ローカリゼーションについて詳しく説明します。

ローカリゼーションとは、直訳すると「局地化」で、説明的に言うと「特定の地域に自分たちの商品やサービスを合わせること」です。わかりやすい例は食品でしょう。食品を海外に売る場合、まずは相手国の法律を守った成分を使用しているか、相手国の食習慣に合っているかなどを考えなければいけません。例えば、イスラム教の国では豚や豚由来の原料を使ってはならないと言われていますが、どれだけ厳格にしなくてはならないかは国によって異なります。

ローカリゼーションをするのは現地の人

しかし食品の売り方を決めるのは誰でしょうか。これは現地の人がするべきことです。なぜならば現地の消費者の消費行動や消費習慣を知っているのは現地の人だからです。ローカリゼーションは食品成分表などの訳だけでなく、商品の紹介も地域に適したものにしなくてはなりません。

ローカリゼーションと商品名

商品のローカリゼーションにあたって最も悩むのは商品名でしょう。商品名はまさにブランドの名前ですからすぐに覚えてもらう名前は重要です。これは食品の場合は特に重要です。例えばカルピスを海外に持って行った時、英語ではその言葉の発音が「牛のおしっこ」に聞こえてしまうのでカルピコと言う名称にしたのは有名な話です。逆にガソリン会社のExxonが日本に入ってきた時にエクソンという語感がよくないのでエッソにしたと言います。英語や日本語の翻訳者とコピーライーターがどんなに知恵を絞ったか想像できます。

日本の商品を世界に紹介する

次に日本の商品を世界に紹介する際に考慮すべき点について説明します。

日本の世界的食品

ここでは日本の商品を世界に紹介することについて説明します。日本の代表的な食べ物、カップ麺を例に取ります。カップ麺はいわゆる「日本食」ではなく、まさにグローバル食なのでラベルを翻訳して出荷すれば良いのではと思われますが、それでも海外に展開する場合はローカリゼーションが必要です。もちろん使われている食材が現地の法律や基準を満たすものであることは言うまでもありませんが、現地でどういう捉えられかたをして、どういう風に消費されるかを理解するのが重要なのです。

それぞれのローカリゼーション

カップ麺の例では、アメリカではあくまでも実用品であり災害時に食べるようなものとして捉えられ、南米では気軽に楽しく食べられるスナックフード、そしてヨーロッパでは日本の味をいかに即席に封じ込めたのかを楽しむのがポイントのようです。こういう違いはやはり現地のマーケティング会社でないと見極めが難しいと思います。

日本のアニメについて

日本のアニメは、国内外で高い評価を得ており、その影響力は世界中に広がっています。ここでは、日本のアニメを世界に紹介する際に考慮すべき点について詳しく説明します。

何を商品化するのか

日本のメジャーな輸出品のひとつと言えばアニメとマンガですが、ローカリゼーション作業と言えばマンガ、アニメ、ゲームを翻訳することと考えている人も多いので、ここで簡単に説明します。海外に日本のアニメ作品を紹介する場合、日本独特の慣習や考えが伝わるようにするのか、その必要がないのかを決定する作業が重要なのです。これは作品の普遍性と言う要素が大きく関係します。

日本のアニメの特殊性

私は日本で生まれて育ったので、当然のことのように家にはマンガ本がありテレビでアニメを見ていました。そして小学生、高校生、大人になってもマンガやアニメがありました。世界中でこれほどマンガやアニメがある国は珍しいそうです。ほとんどの国ではマンガやアニメは子供のものであり、大人が見るものではないと考えられています。日本のアニメは読者の幅が非常に広く、テーマも多種多様なので、何を海外に送り出すのかの選択も必要です。送り出す人と受け入れる人の意見が必ずしも一致しない部分かもしれません。これもやはり消費者をよく知っている現地の出版社に依存した方がいいかもしれません。

日本のアニメは優れているのか

宮崎駿氏の作品のように世界で受け入れられた作品があります。もちろんこれはローカリゼーションの課題と言うより作品の秀逸性があります。宮崎アニメの多くのテーマは子どもがある問題に遭遇し、感じる不安や恐怖によってその子にしか見えない世界が広がり、その子の創意工夫によって問題が解決に向かうと言う普遍的なストーリーが多くの人の共感を呼んだと考えられています。すべてのアニメ作品がこのような特質を持っているわけではないと言うことは知っておいた方が良いでしょう。

グローバル対ローカルの妥協

ローカリゼーション

企業が国を越えて成長するためには、文化的な違いを理解しつつも、共通の価値を見出すことが重要です。次の見出しで詳しく説明します。

「文化の違い」なのか

「文化の違い」という言葉がよく使われますが、ローカリゼーション作業の中で、これは相手の国の文化に合わないからやめようとか、これなら受け入れてもらえるのではないかと考えることがあります。ざっとグローバル展開とローカル展開について語ってきました。おさらいすると、グローバルは広く遠くへ展開することです。そしてローカリゼーションはある場所に根付いて展開することです。企業が自分の国から出て大きくなろうと考えた場合に必要な作業です。

Think globally, act locallyに回帰する

文化の違い、言葉の違いと言うことは重要ですが、グローバル展開をしたくてローカリゼーションを考える場合、「共通なもの」と言う考え方をした方が良いのではないでしょうか。たしかに私たちは様々な言語を話し、様々な文化習慣を持っています。しかし基本は人間なので泣いたり笑ったり、食べたり飲んだり、やることは同じです。この共通点を見つけて育むのがグローバリゼーションだと思います。そしてローカリゼーションはその道の専門家である現地の翻訳者に任せるのが良い方法でしょう。

ローカリゼーションを意識した翻訳は翻訳会社FUKUDAIにお任せください

グローバル市場における成功には、ローカリゼーションを意識した翻訳が欠かせません。翻訳会社FUKUDAIでは、長年にわたる経験を活かし、マニュアル、UI、Webサイトなどのローカライズ翻訳を多数手掛けてきました。地域ごとの文化や言語に最適な翻訳を提供し、企業の海外展開をサポートいたします。
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初めての海外展開において、現地の文化や言語に関する不安がある場合は、ぜひFUKUDAIにご相談ください。

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著者

英語翻訳者

S.Kusaka

幼少期から英語と日本語のバイリンガル教育を受け、アメリカの州立大学大学院を卒業。大手広告代理店や国立研究機関での豊富な翻訳経験を活かし、30年以上にわたり、日英・英日翻訳、校正・校閲の分野で活躍。

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