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2024.06.05

バックトランスレーション(逆翻訳)の重要性やメリット・デメリットを解説

バックトランスレーション(逆翻訳)は、翻訳の精度を確保するための重要な手法です。日本語を英語に翻訳する際、言語間の微妙なニュアンスや文化的背景を考慮すると、正確な翻訳を行うのは容易ではありません。バックトランスレーション(逆翻訳)を行うことで、英語に翻訳されたテキストを再度日本語に戻し、元の日本語と意味が一致しているかを確認できます。これにより、翻訳の正確性が向上し、微細な誤解やニュアンスのズレを発見することができます。

今回は、翻訳の正確性を向上させる方法としてバックトランスレーション(逆翻訳)について詳しく解説します。そのプロセスにおける注意点についても触れますので、ぜひ最後までご覧ください。

バックトランスレーションとは

バックトランスレーションとは、1度原文から翻訳された文章を再度原文の言語に翻訳し直す作業の事を指し、日本語では「逆翻訳」と呼ばれます。
例えば日本語から英語へ翻訳した場合、英語に翻訳した文章を日本語に再度翻訳し、日本語の原文と再翻訳後の日本語文を比較します。
この作業を行うことにより、文章が破綻していないか、日本語の単語が正しい英単語に置き換えられているか、違和感のある文章になっていないかを確認することが可能になります。

バックトランスレーション(逆翻訳)の種類

 
バックトランスレーションには、「シングルバックトランスレーション」と「ダブルバックトランスレーション」の2種類が存在します。この2つの特徴や違いについてご紹介いたします。

シングルバックトランスレーション

依頼主が原文と翻訳文のファイルを翻訳会社に提出し、提供された翻訳文を元の言語に逆翻訳した上で、レビュアーがそれを原文と慎重に比較して、両者の間に矛盾がないか、訳文が原文の意味をきちんととらえているかどうかを検証します。

この結果をレポートを作成することで、原文と逆翻訳の相違箇所を特定し、翻訳文の修正が必要な部分を明確にできます。これにより、原文の内容をより正確に反映させることが可能です。

ダブルバックトランスレーション

シングルバックトランスレーションとの大きな違いは「原文ファイルのみの提出」という点で、翻訳会社の翻訳者が、まず原文をターゲット言語に翻訳し、その後、シングルバックトランスレーションと同様の流れで別の翻訳者が翻訳文を逆翻訳したものを比較・検証し、レポートの作成と翻訳文の修正を行います。

さらに、依頼主には逆翻訳を担当し、翻訳者が原文を参照せずに、翻訳文のみをもとに翻訳作業を行ったこと証明書が発行されます。これにより、翻訳文の正確さが証明されます。

バックトランスレーション(逆翻訳)のメリット

バックトランスレーションを行うことにより、様々なメリットが生まれます。どのようなメリットがあるのか、詳しくご紹介いたします。

適した訳語で翻訳ができているか確認できる

専門性が高く、日本語の原文に対して特定の訳語が存在しているような文章の場合、バックトランスレーションによって正しい訳語に置き換えられているかどうかを判断することができます。

特に、専門用語が頻繁に出るような医療系の文書や特許関連の文書等、既に定まっている訳語が存在している文書に適しています。

外国語の知識がなくても、翻訳の正確性を確認できる

もう一つの大きなメリットとして、翻訳後の言語の知識がなくても、翻訳の正確性を確認できる点があげられます。

例えば日本語から中国語へ翻訳する際に、発注者側で中国語の訳文のチェックを行うことができなくても、日本語に逆翻訳することできちんと翻訳が行われているかどうかを確認できます。

バックトランスレーション(逆翻訳)のデメリット

いわゆる「表現力」を求める場合、バックトランスレーションは不向きです。特にWebサイトやプレスリリースに対して行ってもほとんど意味がありません。

仮に日本語→英語→日本語というプロセスを辿っている場合でも、実際に使用するのは英語であるため、英語として自然なものか、意味が通る訳文になっているかを判断できないと意味がなく、効果はほとんどないといっていいでしょう。

日本語で問題がなかったとしても、それが英語でも同様に問題がないとは限らない点に注意が必要です。

また、言語によってもバックトランスレーション自体が意味を持たないケースもあります。韓国語のような表音文字等は、その文字自体に意味を持っていないため、ほとんど意味がありません。

そのような理由から、翻訳後のターゲット言語として訳文を評価し、検証することが正しい方法と言えるでしょう。

バックトランスレーション(逆翻訳)の適用例

ここでは、具体的なバックトランスレーションの適用例を、事例を用いながらご紹介いたします。

ライセンス契約のバックトランスレーション(逆翻訳)

【事例1】ライセンス契約の日英翻訳
[原稿]Licensee may not assign, sell or sublicense this License or the Licensed Rights without Licensor’s express written approval, except solely as may be required for the production, distribution and exploitation of the Program

[翻訳]ライセンシーは、ライセンサーの明示的な書面による承認なしに、本ライセンスまたは許諾された権利を譲渡、販売またはサブライセンスすることはできない。これは、本プログラムの生産、配布および利用に必要な場合を除く。

[バックトランスレーション]Licensee may not transfer, sell, or sublicense this license or approved rights without explicit approval in writing by the Licensor. This excludes the cases where they are required for the production, distribution, and use of the program.

 

バックトランスレーションの結果、訳は合っています。契約書は、誰が誰に何を与えて、何をして良いかなどを細かく決める文書です。ここでは「誰が誰に」が非常に重要です。英語のlicensorとlicenseeのように語尾が-orと-eeで終わるものはとても間違えやすく、気をつけなければなりません。バックトランスレーションを行うことで「誰が誰に」の関係が正確に訳出されているか確かめることができます。他にlessorとlesseeが間違えやすい事例です。

借上社宅管理規程のバックトランスレーション(逆翻訳)

【事例2】借上社宅管理規程の日英翻訳 
[原稿]借上社宅の入居及び利用に伴い発生する敷金、礼金、仲介手数料、火災保険料、鍵交換代、その他契約から発生する費用に相当する諸費用は、原則として入居者本人の負担とする。

[翻訳]In principle, the tenant shall bear responsibility for the costs of the security deposit, key money, brokerage fees, fire insurance premiums, key replacement fees, and other expenses arising from the contract, which are incurred in connection with the tenancy and use of the Leased Company Housing.

[バックトランスレーション]原則として、入居者は、敷金、礼金、仲介手数料、火災保険料、鍵の交換費用、その他借上社宅への入居及び利用によって発生した本契約による費用を含む諸費用を負担する。

 

原稿とバックトランスレーションが微妙に違っています。その理由は、翻訳文のcontractの後のwhichに続いている関係詞節(relative clause)(アンダーラインの箇所)が懸垂修飾節(dangling modifier)になっているからです。関係詞節はすぐ前の語contractを修飾するはずなのですが、原文ではcontractではなくcostsを修飾しています。この場合、人は関係性が直感的に分かるのでほぼ気に留めません。そのためチェックで見逃した可能性があります。しかしバックトランスレーションをすると意味が違ったり機械翻訳が困ったりする原因となるので、関係詞節が垂れ下がらないように心がけなければなりません。

バックトランスレーション(逆翻訳)の注意点は?

注意点

メリットが多く、高品質な翻訳には欠かせないバックトランスレーションですが、行う際には注意点もあります。どのような注意点があるのか、ここでご紹介いたします。

自然な表現になっているかどうかは判断できない

バックトランスレーションを行ったからといって、文章全体がネイティブスピーカーにとって自然な文章の表現になっているかどうかの判断はできません。

「どのような文章でもバックトランスレーションを行えば翻訳が正しく行える」と考えると、かえって混乱を招く恐れがあるので注意が必要です。

定訳のある専門性の高い文章に適している

バックトランスレーションは専門性が高く、日本語の訳文に対して適切な訳語が決まっている、いわゆる「定訳」が数多く含まれている文章に対して行うのが適しています。

特に漢字表記された法律名や病名等、専門的な用語が正しい訳語に翻訳されているのかを判定したい場合、バックトランスレーションのメリットがあります。

高品質な翻訳は翻訳会社FUKUDAIにお任せ下さい

バックトランスレーションは、翻訳の正確性を確保するための重要なプロセスです。メリットとデメリットを理解した上で、適切な場面で活用することにより、高品質な翻訳を実現できます。

FUKUDAIには、各分野に精通した優秀な翻訳者が揃っております。お客様が現在お持ちの訳文に不安を感じている場合、弊社では順翻訳と逆翻訳をそれぞれ別の翻訳者とチェッカーが担当し、ご依頼に対応いたします。お客様のご要望にできるだけ寄り添い、リーズナブルな価格で高品質な翻訳を実現します。

バックトランスレーションを含めた翻訳のことなら、ぜひ翻訳会社FUKUDAIにお任せ下さい。

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監修者

翻訳会社FUKUDAI 代表取締役

鈴木 宏基

株式会社トーメンや株式会社ロームにて、10年以上にわたり海外営業に従事。その後、翻訳者としての経験を積み、株式会社福大を創業。翻訳事業を立ち上げ、代表取締役に就任。

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