翻訳コラム
2023.05.09
治験翻訳とは?治験文書の翻訳ポイントを解説
医療翻訳と呼ばれる分野は非常に多岐に渡りますが、現状では「医療機器翻訳」と「治験翻訳」の需要が特に高くなっています。「治験」とは、人を対象に行う臨床試験の中でも、新薬承認申請を目的とした試験です。
では、具体的に「治験翻訳」とはどのような翻訳を指すのでしょうか。今回は治験翻訳の翻訳ポイントや依頼するのに適した翻訳会社の選び方についてご紹介いたします。
Index
「治験」とは?新薬が承認されるまで
治験とは、薬の「候補」を医薬品として承認してもらうために行われる臨床試験のことを指します。
製薬会社が治験を行う際には、厚生労働省に治験の計画を申請し承認されると、薬事法で定められた条件を満たした条件で治験が行われます。
製薬会社から治験の依頼を受けた病院は「治験審査委員会」を開いて治験内容を審議し、問題がなければ病院内の関係者を対象に「治験説明会」が開かれます。
その後、患者に対して説明が行われ、治験が開始されます。治験が終了すると、報告書が作成され、データの内容を元に「新薬」として申請が行われ、厚生労働省の厳正な審査を通過すると、市場への新薬の流通が許可されます。
翻訳が必要になる治験の文書は?ポイントも合わせて解説
翻訳が必要になる治験の文書は複数あります。ここでは、必要となる文書の詳細と、翻訳するポイントについてご紹介いたします。
治験実施計画書
治験の目的や実施方法、統計、解析手法等が書かれている計画書です。
治験実施計画書には「日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)」で定められたガイドラインに準じた書式や用語が用いられるため、翻訳者はこのガイドラインを参照するのが一般的です。
治験薬概要書
治験薬概要書には、治験薬開発の経緯や特性、過去に実施された試験成績等がまとめられています。
治験薬概要書を翻訳する場合には「医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP省令)」や「医薬品の製造管理及び品質管理の基準(GMP)」、「試験実施適性基準(GLP)」等を参考にしながら行います。
同意説明書
同意説明書は、被験者候補となる患者に対する文書です。
同意説明書を読んだ患者が、治験に参加するかどうかを決定する非常に大切な文書で、翻訳する際にはできるだけわかりやすく、読みやすい内容の翻訳に仕上げなければなりません。
他にも、「症例報告書」や治験の結果をまとめた「治験総括報告書」の翻訳等が、主な治験翻訳に該当する文書になっています。
治験翻訳を依頼するのに適した翻訳会社は?
専門性が高く、また誤訳が許されない治験翻訳は「翻訳のプロ」である翻訳会社に依頼するのが最も安全な方法といえます。しかし、翻訳会社は多くあり、どの会社を選べばいいのかわからないという方も多いようです。
そこで、ここでは、治験翻訳を依頼するのに適した翻訳会社の選び方についてご紹介いたします。
治験翻訳の実績が豊富か
治験翻訳は非常に専門性の高い分野です。翻訳会社によっては治験翻訳に対応していない、専門の翻訳者がいない、または十分な実績がない等ということがあります。
治験翻訳を依頼する際には、ホームページで治験翻訳に対応しているかどうか確認するだけではなく、事前に治験翻訳に対しての実績が十分にあるか、専門の翻訳者がいるかも必ず確認しましょう。
翻訳会社によっては無料のトライアルサービスを行っていることもあるので、それらを活用するのも翻訳の質をチェックするには効果的といえます。
翻訳の品質管理体制は優れているか
治験翻訳は、その専門性の高さや人の命に関わる分野であるため、誤訳は基本的に許されない分野です。そのため、翻訳の要求事項を厳密にしている翻訳会社を選ぶことも重要です。
例えば、翻訳の国際規格では「ISO17100」と呼ばれる規格が最も有名です。この規格は、品質の高い翻訳サービスに必要な翻訳者の実務経験や資格、プロジェクト管理方法、文書や記録の管理、セキュリティ基準等について厳密に定められています。
国際規格を取得している翻訳会社であれば、翻訳者の質やチェック体制まで高い水準が維持されているため、誤訳等の発生リスクは低いと判断できます。
機密性は保持できるか
治験翻訳は、患者の個人情報を含む可能性があるため、翻訳者は情報の機密性を保つことが求められます。機密性を維持するためにも、翻訳会社が情報漏洩リスクを予防するために、どのようなセキュリティ対策を行っているのか確認しておきましょう。
また、機密保持契約書が締結できる、あるいは機密保持に関する条項が明記されていることを確認して契約締結することも大切です。
「こんなはずじゃなかった…」という治験翻訳にならないために
翻訳会社に依頼される治験文書の大半は、国際共同治験による開発品です。治験文書の英文は簡潔でわかりやすく、一見機械翻訳でも問題ないように感じられますが、英語力以上に「調査力」が必要となる分野でもあります。
書き手の意図をくみ取り、背景知識や調査力をしっかりと理解できる翻訳会社を選ばないと、本当の意味での「治験翻訳」は難しく、予想外の内容や意図しない翻訳になりかねません。
翻訳会社がしっかりと治験の一連の流れを理解し、疑問点を隅々まで調査して、被験者や担当医師になったつもりで訳文を作成した上で、納品してくれる翻訳会社が理想的です。
妥協することなく、自分自身が納得できる翻訳会社を根気よく探していくことが、結果的に質の良い翻訳文を手に入れることにもつながります。
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