翻訳コラム
2022.06.08
法律翻訳(リーガル翻訳)に資格は必要?求められるスキルとは
契約書や裁判関連資料など、企業において「法律翻訳」を用いることは、グローバル化の増大などにより多くなってきています。
法律翻訳は語学力のみならず海外ビジネスの経験や法律の専門的な知識が必要です。しかし、法律翻訳の「資格」については、あまり詳しく紹介されていません。
そこで、今回は法律翻訳に資格は必要なのか、さらには法律の翻訳者に求められるスキルや翻訳会社を選ぶポイントについて、詳しくご紹介いたします。
Index
「法律翻訳」とはどのような翻訳を指すの?
「法律翻訳」とは、法律に関する文書の翻訳全般のことを指します。
法律翻訳の対象となる文書
法律に関する文書は、売買契約・サービス契約・業務提携・委託契約などといった契約文章から、訴状や証拠説明、起訴状、法令などといった裁判関連資料が含まれます。
これらの法律に関する文書を翻訳するには、翻訳先の言語だけではなく、法律対象国の法律知識や規則への理解も必要となるため、比較的難易度が高い翻訳といわれています。
法律翻訳に必要なスキル・資格について
ここでは法律翻訳に参入する必要なスキル・資格について説明します。
法律翻訳者に求められるスキル
法律翻訳では、誤解を招く翻訳が大きな影響を及ぼす可能性が高いため、法律翻訳者に非常に幅広いスキルが求められます。主に以下4つのスキルに分けられます。
- 優れた言語能力
- 法律に関する専門知識
- 情報の収集力
- 各国の文化に関する知識
優れた言語能力
法律翻訳を行うには、優れた言語能力が求められます。法律関連の文書を正確に理解し、わかりやすい言葉で翻訳するスキルが必要です。また、単に翻訳するだけでなく、より理解しやすい語彙を使ったり、欠けている情報をうまく補完したりする能力も必要です。 高度な言語能力を証明するために、英語の資格や国際規格「ISO20771」などでの認定を取得したほうが良いでしょう。
法律に関する専門知識
法律に関する専門知識も高い水準が要求されます。外国の法律専門家にも違和感を与えない文章を作成するには、同じくらいの知識が必要です。法律に関する知識をゼロから習得する場合、時間がかかることは避けられません。たとえばアメリカでは、各州ごとに異なる法律があるため、地域ごとの法律の特徴を把握する必要があります。
ただし、ウェブサイトを通じて外国の法律情報を簡単に入手できるため、以前よりも学習や調査が容易になっています。外国の法律を読むことで、徐々に専門知識を身につけることができます。
情報の収集力
法律翻訳には、情報収集能力も必要とされます。納期を守るために、辞書やウェブサイトなどを利用して情報を収集する必要があります。情報収集が不十分だと、法律用語の使用に誤りが生じたり、翻訳の品質が低下することがあります。
情報収集に役立つサイトとして、「FindLaw」が挙げられます。このサイトはアメリカの州法や判例などを調べられるデータベースサイトで、無料で豊富な情報が提供されています。初心者にも役立つので、一度覗いてみる価値
各国の文化に関する知識
法律だけでなく、各国や地域の文化にも理解が必要です。外国の文化や常識を理解することが文章の背景を読み取るのに役立ちます。意味は通じていても、ニュアンスに誤りが生じる可能性があります。
日本も含め、アメリカや中国などは地域ごとに異なる文化があります。文化の違いを把握しておくことは、翻訳の質を向上させる重要な要素です。
法律翻訳に「資格」は必要なのか?
法律翻訳には必須な資格はありませんが、法務関連に特化した国際規格「ISO20771」が存在し、取得すると、翻訳の品質と安心の保証になり、顧客へのアピールにつながります。ここでは国際規格「ISO20771」についてもご説明いたします。
法務関連に特化した規格「ISO20771」について
ISO20771は、法律関連に特化した国際規格で、2020年4月より発行されています。この規格は法律翻訳を行う個人の翻訳者に対する規格で、複数の卒業資格や経験が必要とされています。
これは翻訳サービス提供者(翻訳会社)に適用される規格であり、翻訳品質の参考にもなります。
また、ISO20771では、法律翻訳者の資格をカテゴリーに分けて定めています。
- 翻訳関連の高等教育機関の卒業資格 + 法律関連の修士号 + 3年以上の法務分野での翻訳実務経験
- 法律関連の高等教育機関の卒業資格 + 3年以上の法務分野での翻訳実務経験
- 翻訳関連の高等教育機関の卒業資格 + 5年以上の法務分野での翻訳実務経験
- 高等教育機関の卒業資格 + 公認法務翻訳士の資格(公的な民間機関の公認)+ 3年以上の法務分野での翻訳実務経験
- 法務翻訳士の国家資格(国家機関の公認)
これらは翻訳者個人が申請して認定を受けるもののため、資格条件を満たす根拠となる書類を翻訳者本人が記録し、保管しておく必要があります。
なぜ他の翻訳分野より難しい?
ここでは法律翻訳は他の翻訳分野やり難しい理由について説明知ます。
法律のアップデート
法律翻訳者には幅広い法律知識が必要です。それぞれの国や地域で異なる法律について理解する必要があります。そして、法律は日々変化していくため、知識を常に最新のものに保つ必要もあります。法律翻訳家を目指す際には、学習時間の確保も考慮しておくと良いでしょう。
幅広い情報収集が必要
翻訳対象となるサービスの内容をしっかり理解しないと自然な翻訳をすることができません。例えば、高度な翻訳スキルを持つ翻訳者であっても、IT関連の知識がなければ、法律に関する文書を適切に翻訳することは難しいです。そのため、法律翻訳者には翻訳対象となる分野の知識、幅広い分野の情報収集と学習が必要です。
業界ごとに慣習が違う
国や地域によっても異なるように、企業が所属する業界にも様々な慣習があります。法律に関する文書にはその業界特有の慣習が反映されることがありますので、法律に関する文書の翻訳には業界の慣習を十分に理解することが重要です。
また、業界の慣習は常に変化していますので、法律翻訳者は常に業界の最新情報を把握することが求められます。
最終判断は「翻訳実績」がカギとなる!より良い翻訳会社の選び方は?
ここまで、法律翻訳に関する資格やスキルなどについてご紹介してきましたが、実際に翻訳会社に法律翻訳を依頼する際には「会社実績」が最も重要視するべきポイントです。その理由について、さらにはより良い翻訳会社の選び方について、この項目で詳しくご紹介いたします。
翻訳実績と取引先は法律翻訳に適しているか?
規格やスキルも必要ですが、信頼できる翻訳会社を探す際には「翻訳実績」が大きなポイントとなります。翻訳実績は会社にとっての「職務経歴書」であり、確かな実績は翻訳会社を選ぶ際の大きな判断材料になります。
翻訳業界では金額よりも実力と経験の豊富さがより重要視され、さらに取引先が明確になっていれば、会社の信頼度も高くなります。
会社の実績だけではなく、取引先や在籍している翻訳者の翻訳実績も意識して選ぶのがお勧めです。
法律翻訳に対応しているか?
翻訳会社には、それぞれ「得意としている分野」があり、会社が法律翻訳に対応していなければ、そもそもの依頼が難しくなります。
幅広い分野に対応している翻訳会社もありますが、法律翻訳の難易度を考慮すると、やはり法律翻訳を得意分野としていることが望ましいといえます。
また、大手翻訳会社に依頼するのが正しいとは必ずしもいえず、法律翻訳に対応していなければ品質の保証はされません。
法律翻訳を得意としている、あるいは専門的に翻訳を行っている翻訳会社を選ぶのが安心かつ確実であるといえるでしょう。
顧客への対応は誠実か?
どれだけ法律翻訳に特化していても、顧客への誠実な対応をしていなければ「良い翻訳会社」とはいえません。特に、法律翻訳は企業にとって欠かせない要素であり、長く取引していくことも多くなります。
誠実であること、真摯に顧客対応を行っていることは、翻訳会社を選ぶ上で重要なポイントです。
さらに、レスポンスの早さや的確さ、サービスの丁寧な説明は、信頼できる翻訳会社の指標になるため、チェックしておくことをお勧めいたします。
正確かつ確実な法律翻訳なら翻訳会社FUKUDAIへ!お気軽にご相談下さい
翻訳会社FUKUDAIでは「法律・法務・契約書翻訳サービス」を提供しており、海外ビジネス経験を持つ翻訳者が多数在籍しています。
正確かつ高品質な翻訳の他にも、最終段階の校正作業では法務経験者によるチェックを行っており、クオリティの高い翻訳文章の提供が可能です。
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監修者
翻訳会社FUKUDAI 代表取締役
鈴木 宏基